No.1 灰色の世界に私は居た(女性・33歳)

不安から安心
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気がつくと、「灰色」の世界にいた。わたしの髪は本来黒髪だが、夢の中では灰色の髪の毛だった。周りを見渡しても灰色一色の世界が広がる。ここには誰も居ない。ただ一人そこにたたずむわたしを除き。
(本来ならば青空の下、涼しい風もにぎやかな音も聞こえていたはずなのだ…。)記憶にある風景を思い出して溜息をついたけれど、その溜息の音さえも聞こえない。「灰色の世界」にわたしの心までも灰色になっていくようだった。わたしの知る世界は動きを止めてしまった。
頭がボーッとしていて、すべてが灰色で塗られた場所で今何を考えれば良いのだろう…。「ここは終末の世界なのかな…。」と思った瞬間、灰色の世界が、見たこともない速さで、真っ黒に塗り替えられていく。
「この世界で、わたしが生きた証を何か残せるのだろうか?」「どうすれば良いのだろうか?」何が正解なのか、何が間違いなのかもわからないまま「黒色に塗り替えられる世界」に対し目を閉じることしかできない。どうして、わたしだけが生き残ったのだろうか。わたししか知れないことがあったのだろうか。何か理由があったのだろうか。
この世界は本来ならば未来がある世界だったのか、どうしてこうなってしまったのか。世界が真っ黒に染まって消えていく。だんだんと、消えていく。最後に何か、わたしがこの世界に存在した証を残したいと思った。しかし、お別れをいう人間はここにはいない。
次に気づいたときには、今までの内容は本の中の世界だという事が分かった。わたしは、その本を閉じてひたすら読後感に浸る。なんとも切なく目をそむけたくなるような雰囲気だったけれど、とても読みやすく、かつ読み応えのある本だった。
「あぁ、この本、わたしは好きだなぁ」と、頭の隅々まで本の中身である真っ黒な世界に染められた所で、わたしは目が覚めた。
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