No.129 卒業式と雪の洞窟(男性・32歳)

不思議
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現実世界では私は社会に出てもう長いこと経っているのに、夢の中では高校生になっていた。
高校といっても現実世界で通っていたそれとは違うもので、周囲の学生は知らない人間ばかりだし、校内の壁は真っ青な陶器のようなもので、床は真っ白な硬いゴムのようなものでできていた。
教師は痩せた長身の男性。しかし、彼もまた知らない人間である。教師は私を含む学生を廊下に並ばせ、体育館へと誘導した。すると、天井の無い体育館が見えてきた。
天井が無いこと以外は至って普通の体育館だったこともあってか、私はこれについてあまり違和感を覚えることはなかった。むしろ、遠くに見える校長先生らしき人物の方に違和感を覚えた。校長先生は普通の黒のスーツを着ていたが、頭部は黒い布のような何かに覆われており顔を確認することができなかった。
私たちが整列し終えると、校長先生は「諸君、卒業おめでとう」と言い、しかし誰にも卒業証書を渡すことなく集会はそのまま解散となった。
その後、教室に戻った私たち学生は各々の机の上にある異様に黄色い卒業証書を手に取ると、そのまま意気揚々と下校を始めた。私も下校をしなければという気になっていたのでそのまま高校を出て、見たこともない街を歩き、ふらりと近くに見えたコンビニに立ち寄った。
そこにはビジネスマン風の男が2・3人いたが、特に私と関わることはなかった。私はそこでソフトクリームを買い、それを食べながら帰り道を歩いた。しかし、歩けど歩けど家は見えてこない。
その時の私は帰る家があり、そこが確かに帰り道であるということは感じていた。とはいえそれがここから遠い場所であるということもまた感じていた。長いこと歩いているうちに空はオレンジと紫色が混じった美しいものになり、雪がチラチラと降ってきた。
街は自分の後ろに遠くに見えるだけとなり、目の前には雪の洞窟がぽっかり口を開けていた。現実的に考えればおかしいことだが、その洞窟内は夜のコンビニ並みに明るく、また中では何人かの人がくつろぎながらスマホをいじったり、ノートパソコンをいじったりしていた。
洞窟内にも雪が積もっていたうえ、洞窟の入り口近くからは他の出口が見えなかった。しかし、不思議なことにそこは外より居心地が良かったし、奥に進もうという気になった。
そして私は、洞窟の奥で自分が産んだという大きな卵を発見したが、それに触れることなく目が覚めた。
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