No.2 前世か現世か(女性・53歳)

不思議
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理由は分からないが、私は江戸時代の旅人で夜半に山の中を歩いていた。時代劇で見るような縦じまで丈の短い着物を着ていて、男性と2人旅をしている。
なんとなく感じた2人の関係性は、私が地方武士の娘で、男性が父親の家来のようだった。理由があって何かから逃げている。その理由というのは、はっきりと分からないままだった。
途中で竹藪に迷いこみそうになったり、野犬の声に怯えながら、ようやく山を下りられそうなとき、夜は明け、朝日が顔を出していた。そのまぶしい朝日を眺めた瞬間、場面が変わる。
墓地だった。そして私は落ち武者のような恰好をした男になっていた。墓地の一角にある小さな墓石の前に座りこみ、なんとも不思議な感覚をあじわった。その墓石の前には誰かが活けたであろう、赤い大きな花が見える。
その赤い大きな花をじっと見ていると、体の体温がゆっくりと下がっていくような感覚に襲われた。悪寒が走った後、背後に気配を感じる。振り向こうとした瞬間、いきなり刀で右肩から斜めに切られた。
私を背後から切った人物の顔は見ることができなかったが、なぜか男性であると感じた。流れる血を眺めながら暗転する。
その後、はっと目が覚めた。姿もいつもの私だ。ふとベッドの横を見てみると、浴衣を着た白髪の老婆が立っていた。その老婆は、何をするでもなく、じっと私を見ていた。それはまったく見ず知らずの老婆で、「誰だろう?」とひどく冷静に考えた。
ふと「あの老婆は、未来の私かもしれない」と思う。なんとも言えない感情になった途端、体が動かなくなった。金縛りだ。私が、金縛りを解こうと必死に体を動かそうした時、現実世界で目が覚めた。
ああ、もう起きていたと思っていたが、実際は眠っていたらしい。この夢は、私の前世の記憶なのだろうか。そして、あの老婆は、私の未来の姿なのだろうか…。
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