No.14 あの兵隊は誰だ(女性・27歳)

私は小学校にいた。母校である。教室ではなく、校舎の裏手にいた。そこには何人かの人がいたが、私を含め、大人のかたが多かったように思う。数少ない子どもの中には私の同級生の姿もあったが、私はさして違和感を抱かなかった。
空は暗く、校舎裏全体に灰色の陰が落ちていた。すると突然、大きな爆音が私たちを襲った。爆弾が落ちたのだ。
「空襲だ!」私たちは一斉に、校舎裏から続く防空壕へと急いだ。防空壕の中はとても暗く、奥には墨をこぼしたような闇が広がっていた。防空壕の中に足を踏み入れると、下が水浸しになっていることに気付いた。
水は奥に進むほど深くなり、やがて水位は腰のあたりにまで届いた。このままいけば、爆弾で死なずとも水でおぼれ死んでしまうのではないか、と思われたとき、防空壕の奥に辿り着いた。水はそれ以上深くならず、私たちは安心して立ち止まった。
しかし、私の目は防空壕の隅に釘付けになっていた。そこには、ひとりの兵隊が佇んでいた。もはや壁や水すらも見えない闇の中で、その兵隊は景色の中から浮き上がっているように見えた。兵隊を見つめているうちに、兵隊の目から見た自分の姿が見え始めた。気が付くと、私がその兵隊になっていた。
やがて兵隊になった私の姿は、魔法が解けたように、あるいは魔法にかかったかのように、1匹の小さな蛙の姿へと変化した。蛙の姿になった私はもう人間の姿には戻れないのだと悟り、激しく恐怖し、目が覚めた。
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