ふと気づくと自宅から程近い近所の公園にいました。
なんとなくフワフワした気持ちで散策をしていると、向こうから大勢の人たちが悲鳴をあげながら逃げてきます。「何があったんです?!」と聞くと、逃げてきた人は逃げてきた方向を指さし、口ぐちに「あの男が出た!」と言っていました。
その指先の方向を見ると遠くからボロボロのスーツを着た50歳くらいの男がこちらへ歩いてきます。その姿を見た瞬間、彼がその男だと直感的に理解し、そしてなぜだか分かりませんが、恐怖心がこみ上げてきました。
(やばい、とにかく逃げないと!)と思いましたが、なかなか足がうまく動いてくれません。それでも必死に逃げようと前へ進みます。そうしているうちに男がこちらへどんどん迫ってきます。決して移動速度は速くないはずなのですが、あっという間に間近にまで迫ってきました。
ほんの10メートルくらいの距離まで来るとしわがれた声で「何処へいくんだよ。なぁ。」と言っているのが聞こえてきました。底冷えするようなおぞましい声だったと記憶しています。その声を聞いた途端、足がまるで地面に縫い付けられたかのように全く動かなくなってしまいました。
そして傍にいた、同じように動けなくなった男性にその男は近付いていき「ハァー」と息を吐きかけると、男性はドロドロに溶けてしまいました。あまりの恐怖に大声を出そうとしても一切声が出ません。そして男は私に目を向け獲物を狙うかのように少しずつ、じりじりと近寄ってきます。
そして鼻と鼻がくっついてしまいそうなほど、男は私に顔を近づけて、今にも息を吐きかけそうでした。(もうだめだ!)と思った瞬間に目が覚めました。
あのまま目が覚めなかったら、一体どうなっていたのでしょうか?