ふと気が付くととある建物の中にいた。辺りを見回すがドアはなく、四方を壁に囲まれているような場所だった。真ん中には螺旋階段があり、上を見てみると果てしなく長く感じるほど階段が続いていた。他にすることもなかった僕はその螺旋階段を上り始めた。
高所恐怖症の僕にとって、ひたすら高みへと続く螺旋階段を上ることに強い抵抗があったが、幸い螺旋階段には手すりがついていたため、勇気を振り絞って登り続けた。
上って上り続けたが、一考に果ては見えてこなかった。何時間上り続けただろうか。感覚的には3~4時間程上っていたように思えたが、それでも終わりは見えず、疲れ果てていた僕は休憩することにした。
階段に腰かけ、階段に背中を預けるように腰を下ろした。構造的に少し苦しかったが、かなり疲れていた自分の身にとってあまり問題にはならなかった。
夢の中であるのにおかしな話はあるが、僕はそのまま眠ってしまった。眠っているのに眠っていることを認識できている。つまり俯瞰しているような理屈では表せない感覚だったが、とにかく眠ってしまったのだ。
眠った時間が数分だったのか数時間だったのか、それとももっと長く寝ていたのかは分からないが、ふと気が付くと上から光が差し込んでいた。
果てしない道のりに希望を見出した僕は体を起こしてしばらく呆然と上を見上げた後、先へ進もうと手すりを掴んだ。その瞬間、手すりが急に崩れ、支えを失った僕の体は落下していった。永遠にも感じる長い、落下。
飛び降り自殺をする人はこのような感覚なのだろうか、そんなことを考えながら落ちていったが、地面が近づいてくる頃には段々と恐怖を感じるようになっていた。それでも覚悟を決め、地面にぶつかりそうになったその瞬間、ベッドから落ちた衝撃と共に目が覚めた。