私は、とある塔のてっぺんに立っていました。すると私は何を考えたのか、いきなりためらいもせずに、その塔のてっぺんから地面に向かって飛び降りました。 着地の仕方は忍者のように「シュタッ」っと、かっこよく着地しました。
着地した後、目の前にはコバルトブルーのようなきれいな色をした湖があり、吸い込まれるように私はその湖に飛び込みました。湖の深くまで潜っていると、底のほうに可愛らしい一軒家があったのです。
「湖の底に家なんて、変だな。」と思いながらも、何者がそこに住んでいるのか気になり、家のドアをノックしました。すると、家の扉が開きます。水の中だというのに、家の中には水が浸入していないようで、不思議な光景に驚きましたが、私を迎えてくれた者の姿を見てさらに驚いたのです。
「だあれ?お客さん?」と扉を開けたのは、三匹の子豚でした。「まぁ、中に入りなよ~。」と言う子豚の言葉に甘え、私は家の中に入りました。テーブルの上にはトンカツが乗っていて、子豚達は美味しそうにトンカツをモグモグと食べていました。
私が「どうしてこんなところにいるの?」と聞くと、「家が急にまるごと湖に落ちて、僕たちどうしようもなくなったんだぁ~。」というのです。加えて「変だよね~扉や窓をあけても、水は入ってこないんだぁ~。」と教えてくれました。
私が「水の中の生活は大変じゃない?どうするの?」と聞いたら、「もうずっとここにいるから、なれちゃった!」と言うのです。 詳しく聞いたら、家が湖の底に沈んでから、子豚達は人魚と出会い、結婚をしたらしい。「僕たち、人魚さんと結婚したから、もう陸には上がれないんだよ~。」と言うではありませんか。
私はその話を聞いてなぜだか納得し、子豚達に「色々教えてくれてありがとう。」と伝えて家から出て陸に戻りました。
そこには、人魚がいました。人魚の何人かには人間の足が生えています。「人魚が陸に居る!あれ?足が生えている!」と私が驚いていると、人魚は「何を驚いているのです?我々は人魚ですよ。そこは柔軟に対応できます。」と丁寧に答えてくれました。
人魚たちは、人間の姿でスーパーへ買い物をしに行くようで、私も同行しました。湖の底に居た子豚たちが食べていたトンカツも、どうやらこのスーパーで買ったようです。「子豚にトンカツ…」よく考えると残酷だなと、冷静に思いました。
そして人魚に「子豚さんたちと結婚しているんですか?」と問うと、人魚たちは笑い出し、「それは子豚を閉じ込める為の言い訳さ。逃げないようにする為の。」 と言いました。
さらに詳しく話を聞くと、人魚たちは子豚たちを陸に上がれないと思い込ませ、湖の底の家で肥えさせて、あとで自分たちが食べるという恐ろしい計画を立てていたのです。
そこに別の人魚がやってきて、「あぁ、あの子豚なら、さっきもう食べた。」と言い放ちました。それを聞かされた人魚は激高し、魔法を打ちはじめ、そこらじゅうで爆発が起きたところで目が覚めました。