No.99 憧れの仕事で現実を見る(男性・25歳)

不安から安心
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デスクトップのPCが目の前にある。「ここは、どこだろう?」ヒントは、画面にあった。PCの画面上には、イラストレターというデザインを制作する時に使うソフトが表示されていた。どうやら、どこかの会社の事務所で自分は仕事をしているのだろう。
本業は、建築業で現場監督をしている。現場監督といってもPCを使う業務もあるが、こんなデザインソフトを使うような業務はもちろんない。
訳のわからない状況に戸惑っていると「おーい、頼んでおいた広告のデザインできたかー?」と、私に声をかけてきたのは、30代くらいの男性。そうか、私は恐らくデザインを作る仕事に携わっているのか、と状況を察知した。
私はその上司らしき男性に、まだその仕事が出来ていない旨を報告して自分の机に戻った。広告と言っていた上司。そして、私の机の周りにはその会社で制作された広告があった。なるほどグラフィックデザインか。
私は、子どもの時から何か作る仕事、クリエイティブな仕事に憧れていた。その理由は、祖父が陶器の絵付師をしていたからだ。私の地元は、陶器の産地として有名で祖父は長らく絵付師として活躍していた。陶器に繊細な絵付けを施す祖父の姿を見て、自分もいつか何かをデザインする仕事をしてみたいと希望するようになった。
そして今、夢の中で正しくその夢が目の前にある。私はその上司から頼まれた仕事を何とか終わらせるべく、その広告のデザインに取り組んだ。しかし、幾度となく時間が経過しても、広告のデザインを制作することはできなかった。「デザインに取り組むことが、こんなに難しかったなんて…」厳しい現実を突きつけられた気がした。
私はこの苦境の中で強く感じたことがある。それは、今の仕事に誇りを持っていると言うことだ。確かに現場監督はデザインをする仕事じゃない。しかし、建物をつくる仕事は、物を作る仕事だし、完成した建物は人々の役に立ち感謝もされる。私は現状に感謝して仕事を頑張ろうと思った。
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