No.183 誰も知らない小型犬(女性・50歳) 

悲しみ
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小型犬が自分の家で飼われていた。だけれど、わたし以外その犬の存在を知らない。
家族は気持ちの優しい夫と成人した娘。娘は無類の動物好きだから家の中にいる小型犬が見えないはずはない。いつも犬より猫のほうが可愛いとは言うけれど犬だって大好きなのだ。
犬と娘がふれあっている姿を見た事がある気もするのだけれど、その犬の話をしても娘は「ママだれの犬の話ししてるの?」「うち犬なんて飼ったことないじゃん」とまるでその犬が居ないように話す。
夫にも「うち小型犬飼ってるよね?」と聞くと、夫まで「どこの家の話をしているんだよ」「うちのマンションペット禁止なんだけど」と言う。
それじゃ、わたしが見ていた犬は何だったんだと怖くなって実家へ行って母に相談すると、母がわたしが幼いときクリスマスプレゼントで父からもらった犬のぬいぐるみをどこかから持ってきて「あなたのマンションにいた犬はこれだよ」「また可愛がってあげると喜ぶよ」と言った。
そのぬいぐるみは家にいた小型犬とは違い、どちらかと言えばクマに似ていた。わたしは母に「やっぱりコレとは似ても似つかないよ」と言うと、「そう..。だったら、あんたはもうこの家の子じゃないね…。」と寂しい表情をした。
母から「もうこの家の子じゃない」と聞いて、悲しくて悲しくてどうしようもなくなり、家を飛び出して昔よく遊んだ秘密基地までひとりで走って行った。そこは昔のまま鉄で出来た子供が数人は入れる大きなものがゴロゴロ転がっている場所。懐かしくてその中に一人で入ると真っ暗闇。
でもなんとなく安心できてここに一生隠れていようと思った。
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