No.36 首を狩る武者(男性・17歳)

恐怖
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一番はじめに見えたのはどんよりとした雲、私は草原に寝転んでいました。周りには誰もおらずとても静かに思えました。薄暗い雲を見ていると不安な気持ちがしてその場を離れようとしたところ、遠くからドド、ドドっと何かが走ってくる音が聞こえたのです。
そちらを見ると馬に乗った武者がこちらにものすごいスピードで走ってきていました。私は恐ろしくて逃げようと走り出しましたが足がうまく動かず転んでしまいました。
あせり振り返ると武者はすでに私の目前まで来ていました。兜の下の顔は暗く見えませんでしたが真っ赤な眼だけが見え心臓は痛いほど鳴っていました。
私が恐怖で固まっていると武者は馬からゆっくりとおり、刀を大きくふりかぶっていました。武者から空、地面、そして切られた体が視界に入り私の首がはねられたことを理解しました。
そして私は目を覚ましました。起きた時、心臓はまだ大きな音を立てており、夢であったことに安堵しました。しかし夢はそれで終わらなかったのです。
次の日もまた次の日も同じ夢を見続けたのです。いつも同じところで終わり、起きると心臓が大きな音を立てておりだんだんと寝るのが恐ろしくなってきました。
三日目は夢を見ずに済みましたが、明日は大丈夫だろうか?明後日は?と考えていると夜が来るのさえ嫌になり、睡眠時間は減っていきました。結局その日から今まであの夢は見ていません。しかし今でもあの真っ赤な眼と回る景色だけは鮮明に覚えています。
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