No.83 海の中の天国(男性・25歳)

安心
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そこは、海の中だった。僕は泳げないはずなのに泳げているし、海の中なのに息ができている。手を動かすと前に進み、目を開けているが痛みを感じない。
普段見る事ができない海中を眺めながら、海は広いなと思っているとイルカの群れが近づいてくる。とても人懐っこい様子だ。すると1匹のピンク色をしたイルカが足の下から入り込んで、背中にのせてくれた。とても嬉しくて僕は笑顔になった。
海の中から海面にあがっていくと、とても綺麗な海面の景色が目の中に飛び込んできた。「すごい!」と思わず口に出し、イルカ達と一緒にしばらく空を飛んだ。しかし、ふと下をみると先ほどまで居たピンクのイルカは消えていた。思わず「落ちる!」と叫ぶ。
すると、ガバっと大きな口を開けるクジラが見事に僕をキャッチした。クジラの口の中に滑り込むと、そこはまるで建物内のよう。廊下では大きなタコやイカが人のように歩いていた。しばらくキョロキョロ辺りを見渡していると、綺麗な女性が僕の横を通り過ぎる。思わず「ここはどこなんでしょうか?」と声をかけると、女性は優しく微笑んだ。
女性と他愛もない話をして意気投合し、食事を一緒にすることになり、美味しい料理にワインをのんだ。ふと、窓にかかったカーテンを開けると、真っ暗な空が見え、タイミング良く花火がたくさん打ちあがった。女性と一緒に花火を見て過ごす時間はとても幸せな気分だった。
しばらくすると、僕には嫁がいる事を思い出した。その女性は「大丈夫よ、今だけはね…。」と言う。その言葉に少し不安を感じたが、一緒にお菓子が沢山置いてある部屋に行き、色々なケーキを食べると互いに笑顔が溢れる。ふと脳裏に仕事での嫌な思いなどが思い出されたが、今は幸せだと思い、たくさんお菓子を食べた。
はっと気が付くと、誰もいない暗闇の部屋にせんべいを一枚持って立っていた。先ほどまでの賑わいや楽しい気分がスッと消え、独りぼっちになってしまったような寂しさや不安が襲ってくる。
すると暗闇の奥から声が聞こえた。その声の方へと歩いていくと、明るい光が差し込む扉が見えてくる。光に近づくにつれ人影の存在に気が付いた。そこには笑顔で僕の方へと走ってくる子供が居た。その子の元へ僕は走って行き、ギュッと抱きしめると心がとても満たされ、幸せな気分になり目が覚めた。
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