No.96 悪夢のバス(男性・44歳)

トラウマ
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会社の仕事でやってきた田舎町。いま私は、この町の玄関口である古びた小さな駅にいます。これから先の移動手段がタクシーかバスしかなく、本心としてはタクシーで目的地に向かいたいのですが周囲を見渡してもタクシーはどこにも見当たりません。
それで仕方なくバスに乗ることにしました。しばらくバス停で待っていると、何十年も前に製造されたと思われるポンコツバスがやってきました。
ここで私はふと疑問に思いました。バスの前側のドアから乗るのか、それとも後ろ側のドアから乗るのか…他に乗客がいればその人達の行動を見て真似をすれば良いのですが残念ながら私一人しかいません。
そしてもう一点、疑問に思うことがありました。それはどこまで乗っても定額なのか、それとも距離によって運賃が変動するのかという問題です。財布には一万円札しか入っていませんがお釣りをもらえるのか、両替機があるのかどうかも分かりません。硬貨のみ使用でき、紙幣は使用できないかも知れないと不安に思いました。
乗るのか乗らないのか迷っているとバスの運転手が大きな声で怒鳴ってきました。「おまえ、乗りたいのなら早くしろよ!」と。運転手の顔は見せませんが、運転席からマイクを使って怒鳴っているのは分かりました。
それで仕方なく後ろ側のドアから乗り込みました。バスの中を見渡すと他に乗客はいませんでした。私一人だけです。どこの席に座ろうかとキョロキョロしているとバスの運転手が「乗ったら直ぐに整理券を引けよ!」と注意してきました。
そんなに怒らなくても良いだろうと思いながら後ろ側のドアの横にある箱型の機械から整理券を受け取り、前の方にある座席に座りました。ここでまた問題が発生しました。
実は目的地の最寄りのバス停の名前が分かっていませんでした。バスの運転手に尋ねれば良いのですが、この運転手はものすごく気が短いので聞きたくありません。もう仕方がないので次のバス停で降りることにしました。
そして次のバス停に停まったので、席を立って運転席横の機械で運賃を支払おうとすると、やはり一万円札は使用できませんでした。あろうことか本当に不安が的中してしまいました。これでは支払うことができません。
どうすれば良いのか焦りました。それでチラッと運転手を見ると全てを察したようで「おまえは何だったら完璧にできるんだよ!こんなこともできなくて恥ずかしくないのか!」と再び怒鳴りはじめたのですが、よく顔を見ると先ほどから怒鳴ってくる運転手は会社の上司でした。
声もどこかで聞いた覚えがあると感じていましたし、後ろから見た姿もなんとなく誰かに似ていると思っていましたが、まさか上司がバスの運転手に化けていたなんて…「うわっ!」と声を出しそうになった時に目が覚めました。
目が覚めてしばらく混乱していましたが、徐々に落ち着き、これは夢だったのかと安心しました。しかし、嫌いな上司がまさか夢に出てくるとは思いませんでしたし、バスの乗り方があまりよく分かっていないという現実でも感じている苦手意識が夢に出てきて、朝からヘトヘトになりました。
悪夢にしてはライトな内容ですが、嫌いな上司が運転するバスに乗るくらいなら徒歩で目的地まで向かった方が良いと思いました。
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