No.54 ユニコーンの親子(ユメミタ)

不安から安心
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僕は家の庭で1人遊んでいました。雲を眺めながら、のほほんと過ごしています。しかし、心の中はぽっかり穴が空いているようでした。
すると足元に白い何かが擦り寄って来ました。何かなと見てみるとそれは小さなユニコーンでした。大きさは小型犬くらいの大きさで、真っ白の毛に小さなツノが生えています。
全身真っ白に見えるのですが、光の角度によって立髪の一部が薄い虹色に光って、とても綺麗でした。美しいというよりもかわいいという気持ちが強く、僕はその子を抱きしめました。
すると、僕が今まで我慢していた事や寂しさを強く思い出します。特に母親に理解されたい甘えたいという欲求を感じました。しばらく小さなユニコーンと遊んでいたのですが、そのユニコーンから念が伝わってきます。言葉ではなく、映像を直接頭の中で見たようでした。
その映像には、ユニコーンのお母さんであろう大きなユニコーンが映りました。そして小さなユニコーンからは、寂しいと言う気持ちが僕に流れ混んできました。
僕はもう一度、小さなユニコーンを抱きしめて「大丈夫だよ!寂しく無いよ。」と強く念じました。すると小さなユニコーンはスーッと霧のようになり、消えていきました。
またあの小さなユニコーンに会いたいなと思っていると、母親に呼ばれます。母親の顔を見ると、さっきの寂しい気持ちや理解されたい気持ちが溢れ出し、僕は抱きつこうとしました。
しかし、母は広げた僕の腕を無視して話をしました。話と言っても母の愚痴を聞かされたような感じです。母が辛いと言う度に、私の心はだんだん冷めていきました。そして何も考えず、「うんうん。そうだね。」と大人ぶった表情で愚痴をこぼしながら泣く母を甘やかすのでした。
場面が変わって、僕は庭で母に頼まれた洗濯物干しをしていました。母は庭にある椅子に座ってその様子を眺めています。母の穏やかな表情を見たのは久しぶりのように思いました。
洗濯物を全て干し終えた頃には、母の姿が無く、家の中で僕ではない誰かを甘やかしている姿が見えます。とても楽しそう…。相手が誰なのかわかりませんが、僕はその誰かを羨み、少し憎みました。
すると、洗濯竿の端に小さな鳥が止まり、チュンと鳴きました。体は濃い緑で顔は赤色、目の周りは白色でした。小鳥サイズで可愛いなーと思いながら、その小鳥が指に止まらないかなと、手を出して待っていました。小鳥はしばらくこっちを見て、チュンと首を傾げると、私の指に止まりました。
しばらくすると、鳥の毛の色がみるみる青色に変わり、大きさもとても大きくなりました。指では支えられないので、僕は両手でその鳥を抱きました。青くなった鳥は、どんどん大きくなり両手でもおさまりきらなくなり、最後には両腕で抱き着くようなかたちになりました。
まるで、お日様の光をたくさん浴びてフカフカになったお布団を抱きしめている感覚になり、とっても落ち着きました。そうしていると、母が庭へ様子を見にきました。
「洗濯物は終わった?」と聞かれ、「うん。」と答える僕。その背中には青い鳥が隠れていました。先ほどまで大きかった青い鳥もまた小鳥サイズに戻っています。
母が庭にある椅子に座り、しばらくすると、先ほどの鳥が僕の足元でチュンチュンと言いながら飛び跳ねはじめました。母は「その鳥はなに?」と聞いてきます。僕は母が興味を持ってくれたことが嬉しくて、「お庭に飛んできたんだよ。綺麗だよね。」と小鳥を指に止まらせ、見てもらいました。
すると、先ほどまで小鳥に興味を持っていた母がそっけなく、「えぇ、そうね。」と答えるのです。まるで、僕の話す事には興味がないように…。心の中が段々とムカムカしてきました。ふと手元を見ると、鳥は消えていました。
僕は母に日頃の思いをぶつけようと声をかけます。母は、「あぁ、そうなの…。」と適当な返事をした後、「私も辛いの。だって…。」と、話をすり替え始めました。その瞬間に僕の感情は爆発しました。
普段言い返すことをしないタイプなのですが、母の声を遮って、「なんで僕の話を聞こうとしない!いつもつも!僕の事全然わかっていない!なんで!」と、大きな声を出しました。
すると母は驚いた表情を見せた後、悲しい表情を浮かべ、泣きながら「ごめん…」としか呟かなくなりました。僕はそんな母の姿を見たかったわけでは無いし、ましてや泣かせるつもりもなく、ただ僕の少しの我儘を受け入れてもらいたかっただけなのに。
と思っていると、僕たち2人の目の前に大きな霧がかかりました。その霧は段々と濃くなって周囲に広がっていきます。俯きながら泣く母はこの状況に気づいていません。
「お母さん!」と僕が叫ぶと、その声に反応して母が顔を上げました。するといきなり霧がパッと晴れ、そこには大きなユニコーンが立っていました。薄いピンクの毛色をしていて、立派なツノが生えています。僕たちが見上げるほどの大きさがあるユニコーン。
母は目の前の光景が信じられず、ポカーンとしています。しかし、そのおかげで先ほどまでの涙が止まっているようで、僕は安堵しました。
大きなユニコーンは僕の方を向くとお辞儀をしました。その迫力に驚きながらも、状況が読み込めません。すると、大きなユニコーンの足元から小さな何かがこちらに向かって近づいてきました。
それは以前出会った小さなユニコーンでした。僕は小さなユニコーンに「君、大丈夫だったんだね!よかったね!」と心の中で伝えていました。
すると小さなユニコーンから「君も大丈夫だよ~?」と可愛い声が返ってきます。「わっ!」とびっくりして、母の方を見ました。この事を話したい。話したくてたまらない。
しかし、母はなんとあの大きなユニコーンとお話をしているではないですか。その姿は神聖でもあり、同時に子供が入るべきでは無い会話のように思えました。
なので、僕は小さなユニコーンと遊びながら、また声が聞こえないかなと話しかけました。しかし、小さなユニコーンから再度声は聞こえませんでした。
だけれど、その事を気に病む事はなく、ただただ何も考えず一緒に走って笑って遊びました。しばらくすると、小さなユニコーンが大きなユニコーンの足元に駆け寄りにいき、またこちらに戻ってきました。
「話が終わったみたいだよ!」と語るようなその目。僕は、小さなユニコーンと母の元へ向かいました。するといきなり、母は僕を抱きしめました。そこに会話はありませんでしたが、とても安心して温かく感じました。
しばらく僕を抱きしめた後、母は大きなユニコーンに感謝を伝え、小さなユニコーンを優しくなでました。僕も、ぺこりと大きなユニコーンにお辞儀をして、小さなユニコーンに、「僕も、もう大丈夫!ありがとう!」と伝えました。
そして、僕と母は手を繋ぎました。その姿を確認したユニコーンたちは霧になり、空へ帰っていきました。僕と母は手を繋いだまま、その光景を見つめていました。
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